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2017年定例会の報告
第3回定例会
「駐日イタリア大使を囲んで」
- 日時:10月6日(金)18:30〜21:00
- 場所:LaVita 地下レストラン
報告:中込照明
今回は23年ぶりの駐日イタリア大使を囲んでの夕食会となった。 私は両方に出席したが、今回は前回と比べると全く対照的な定例会となった。前回はLaVita6階ホールでの完璧なレセプションスタイル、今回は地下レストランでの完璧な無礼講スタイル。
そもそもの発端は自転車とイタリアをこよなく愛する北村香奈江さん(当同好会会員)の活躍による。詳細は彼女による乾杯の辞から引用させていただく。
今年の六月にイタリア大使館の共和国記念日のレセプションにお招きいただいた際に、高知県スポーツ課が作成した高知のサイクリングコースの写真集を贈呈させていただきました。 そして、スタラーチェ大使が高知のサイクリングコースを大変気に入られ、自転車で走ってみたいたいとおっしゃっている、と伺っていましたが、こんなに早くおいでいただくとは、思いもよらず、夢のような気持ちです。
この場を持つことになったきっかけは、日本にも沢山のファンのいた、イタリア人の自転車選手、ミケーレ・スカルポーニさんが、ジロ・デ・イタリアに向けた練習中に交通事故で亡くなる、という悲しい出来事でした。
日本のファンたちは、自転車選手としてだけでなく、ひょうきんで愛すべき人物であった彼のことが大好きだったのです。 そこで、ジロのサルディニアでのステージに観戦に行った私が、日本の友人たちと集めたちょっとした支援のお金をご遺族、特に奥様と五歳の双児の息子さんにお渡しするよう、スカルポーニさんの属していたチームに託しました。
そのことが、イタリアのジャーナリストによってインターネットで紹介され、記事を読まれたスタラーチェ大使が私を6月2日のパーティにお招きくださったのです。
スカルポーニ選手がもうこの世にいないことは、私たちにとって悲しいことです。しかし、彼はこのつながりを見て、天国で喜んでくれているのではないか、と思います。
というわけで、今回の参加者はイタリア同好会・高知のメンバーに加えて、高知県サイクリング協会、そして事前に大使による高知県知事表敬訪問もあり、県庁関係者も含むものとなった。
宴の始まりはまず石川啓子副会長の司会のもと大使一行の入場を緊張感漂う拍手でお出迎えである。大使一行の内訳は:
- Giorgio Starace: 駐日イタリア大使
- Simona Leskovar: 駐日スロベニア大使
- Francesco Fini: 駐日欧州代表部副代表
- Tommaso D'Ercole: イタリア大使館一等書記官
- Giannico Maria Letter: イタリア大使館通訳
- Marco Staccioli: MSジャパンサービス社長
- 辻星野: ロムアルド・デル・ビアンコ財団日本代表理事
一行ご着席の後、テノール歌手TOSHIこと森岡俊厚会長による歓迎の辞が述べられた。辞そのもはごく普通の無難なものであったが、後半に寺田晶子さんによるピアノ伴奏とともにテノールの力強い歌声を響かせて辞を締めくくったのは素晴らしく、大使一行を含め参会者全員に高揚感を与え、漂う緊張感を払拭し、この宴の進行を大いに活気づかせるものとなった。
続いて高知県知事のご挨拶の予定であったが、所用により出席できず代理出席となり、知事からの祝辞が読み上げられた。
そして、イタリア大使Giogio Starace 閣下による挨拶があった。挨拶は同伴の通訳Letter氏によって日本語に訳された。
こうして、ようやく前出の北村さんによるサルーテ(乾杯)の掛け声とともに「駐日イタリア大使を囲んで」の祝宴が始まった。
会場の壁にはさりげなくどこからでも見えるようにスクリーンが2面用意され、イタリア同好会・高知の紹介ビデオが Come Prima のBGMと共に映し出された。とはいえ、会場の喧騒にかき消され、BGMはほとんど聞こえなかったが。
食事は高知県産品をふんだんに使ったイタリアンのフルコースである。前菜は、
- 鰹のカルパッチョ、
- 四万十鶏のポルケッタ、
- 高知県産トマトと水牛モッツァレラチーズのカプリ風、
- パルマ産生ハムと土佐野菜の盛り合わせ、
飲み物はもちろん、イタリアンワイン、スプマンテから始まり、白ワイン、赤ワインと続き、大いに飲み頭もふらふらし、当初はコース料理ということで、料理が終わるまでは各自の席は動かないようにというお達しであったが、皆ゆらゆらと席を移動し始め、日本語、イタリア語、英語のごちゃごちゃ言葉で宴は大いに盛り上がる。
特に、Starace大使の横にはLetter通訳が控えているので、日本語OKで、大勢の参会者が気楽に話しかけることができたようである。日高村の村長はしっかりと村の特産品の宣伝をしたようであり、小生も「Monte Paschi di Siena 銀行に小生が持っている口座は大丈夫か」などという少々ずれた質問をするも「State Money が入ったから大丈夫、大丈夫」などと答えていただき、「自分は物理学者だ」というと、息子さんの話が出て、「息子も物理学者だが、いまはコンピュータサイエンスをやっている」ことなども聞かせていただいた。
また、MSジャパンサービス社長のStaccioli氏は日本滞在28年ということで、日本語が自由に話せ、本業以外に大使館の近くにイタリアンのレストランも経営しているとのことで、「きょうのイタリア料理はどうですか」と聞いてみると、「最高だ」との返事、半分はお世辞かな。
このような宴会では話の内容はどうでもよく、とりあえず言葉を交わすことが重要なのだとのことで、次に、一等書記官のD'Ercole氏の席に向かったが、話す内容が思いつかない。D'Ercole氏はきれいな髭を蓄えており、小生もひげ仲間なので、どんな手入れをしているかと聞いてみたところ、「時々はさみで切っているだけ」とのこと。Fini氏、Leskovar氏ともほんの少しだが話ができたのはよかった。
食事もひと段落したところで、どこからともなく、高知名物「菊の花」の盆が出てくる。そこかしこで、ゲームが始まる。人数分の杯が盆の上に伏せられていて、順に返していき、中に菊の花が入っていた人はすべての杯に注がれた酒を飲むことになるという宴会遊びであるが、これに参加した外国要人(閣下という敬称が付く)としては今回のイタリア大使Giogio Starce閣下、スロベニア大使Simona Leskovar閣下が初めてではないだろうか。人数分の1の確率で誰でも当たり得るのであるが、幸いなことに、両大使も、小生も菊の花を当てずに済んだが、なんと、菊の花を当てたのは最後のTOSHIであった。TOSHIはすべての杯を飲み干した後、再びテノールの美声を響かせてこの宴を締めくくったのであった。
こうして、初秋の宴はイタリア同好会事務局長の宮地貴嗣氏の閉会の辞と共にお開きとなった。
なお、大使一行は翌日高知県サイクリング協会のメンバーと共に仁淀川沿いのコースでサイクリングを楽しまれた後、高知竜馬空港より無事帰路に就いたようである。
以下、当日および翌日のスナップ写真をご覧いただこう:
いよいよ開会
森岡会長 歓迎の挨拶
Starace大使
乾杯の辞
Starace大使(左),Letter通訳(右)
D'Ercole氏(中央の髭)
Leskovar氏
辻星野氏
Fini氏(右)
Staccioli氏(中央)
菊の花を当てたtoshi
PIAZZA
閉会の辞
追伸的感想:初めに今回は無礼講スタイルと書いたが、前回のレセプションスタイルにもまして、周到な準備が必要であったことは記しておかねばならない。しかも、そのために費やした努力の跡がほぼ完ぺきに消去されていたという点が素晴らしい。
第2回定例会
イタリアの学生と友達になろう? partVI
−ヴェネツィア カ・フォスカリ大学留学生との交流会−
- 日時:5月19日(金)18:30~21:00
- 場所:La Vita Mezzo Hall
報告:入交桂子
早口ことば 上手に言えるかな…
今年も、4月から6月にかけて、ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学から10人の学生達が高知に留学にやってきました。イタリア同好会・高知では、第2回定例会に今年も留学生達を招待し、楽しい時間を過ごしました。今回で「part6」今年もみんな、勉強熱心で明るく楽しい学生さん達ばかり・・男性はイケメンぞろい、女性はかわいい!
会の始まりに、いつもイタリア国家を合唱しますが、最後の「イターリア・キアーモ!Si!」と元気に歌うとなんだか、自分もイタリア人になった気分・・
学生さん達の自己紹介のあと、高知の食材を使ったイタリア料理を食べながら歓談しました。私の隣の男子学生はカルパッチョに使われている魚に興味津々・・「美味しい!」と喜んで食べていました。
こうして、ああして、それで…わかった?
今回のメインイベントは「チーム対抗イタリア語日本語早口言葉対決」と「日本人・イタリア人混ざっての伝言ゲーム」でした。日本人がイタリアの早口言葉をイタリア人が日本の早口言葉を言います。学生達が歌うように日本の早口言葉を言うと「ブラボー!」の掛け声、イタリア語をしゃべるのが初めての日本人の方も難しいイタリアの早口言葉に果敢に挑戦!
上手に言えるとハイタッチして喜びあい、学生達も日本人もおおいに盛り上がりました!
「伝言ゲーム」ではイタリア語が含まれている、高知に関係する文章を伝言していきました。もとの文章がわからないくらい変化しているチームや、なんとかイタリア語だけは伝わっていたチーム・・みんな大笑いでした。
今年のしばてんたち
学生達は日本語がとても上手で、日本の事をよく勉強しています。話をしていると、あらためて、日本文化の良さに気づく事があります。とても楽しく日本とイタリアの文化交流ができました。来年もフォスカリ大学から留学生が高知に来て、「part7」が開催できたらいいなぁ・・と思いました。参加いただいた学生の皆さん、本当にありがとうございました。
第1回定例会
講演「トランプ大統領の誕生とイタリア、日本」
- 日時:2月13日(月)18:30〜21:00
- 場所:La Vita Mezzo Hall
報告:北村宗範
2月13日行われた、イタリア同好会・高知の第1回定例会に、5年前にイタリア・ヴェネツィアのカ・フォスカリ大学から高知県立大学に短期留学し、すっかり高知を気に入ってくれているフェデリコ・トンバリさんが講師として招かれました。フェデリコさんは高知への短期留学の後、母国で大学院に進学し、2015年から神戸大学の大学院で国際関係に関する研究を続けています。講演のテーマは「トランプ大統領の誕生とイタリア、日本」でした。
講演中のフェデリコさん1
21世紀の超大国アメリカにそれこそトランプのジョーカーのように出現した大統領、ドナルド・トランプ。超大国のトップは知的なエスタブリッシュメントがかじ取りをするのが当然のように思っていた私たちには正に大変な出来事で、就任後も彼の様々な発言や行動は驚きの連続です。若い研究者に写ったトランプ像はどんなイメージだったのか、講演を少し振り返ってみました。
彼の講演全体は「アメリカという超大国も含めて世界各地の政治で台頭する大衆迎合路線・ポピュリズムのうねりの中で日本とイタリアは世界とどういう風にお付き合いをしてゆけば良いのだろうか」にまとめられると思います。新聞の社説や評論のような壮大なテーマでした。フェデリコさんの見方ではトランプと、イタリアで元首相を務めたベルルスコーニは、事業家出身の政治家であることや、ショーマンであり、ロシアのプーチンと仲が良く、メディアや裁判官とよくトラブルを起こすという点で共通点が多いそうです。ただ世界に与える影響力は国家の規模からみてアメリカはイタリアより十倍以上大きく、国としてそれなりのスタンスが必要でしょうとフェデリコさんは指摘しました。
講演中のフェデリコさん2
トランプ新大統領はオバマ前政権が進めてきた環太平洋のエリアで仲良く経済連携する協定を結ぼうという合意を大統領就任後、早速に破棄し、アメリカ第一主義を声高に主張しています。アメリカが第二次世界大戦より昔に戻って、世界から孤立するモンロー主義という内向きの外交政策を取りはじめたのを見ていると、「アメリカには世界を強力に指導してきた従来のパワーは感じられない。」フェデリコさんはこう言って日本やイタリアは投資先などの選定にあたり、軸足を移さなければいけないのではないだろうかと述べました。
その方向性としてフェデリコさんが挙げたのは、アジアです。国の制度の違いや尖閣諸島の領有権など厄介な問題もあって、難しさはあるけれど人口13億人を抱える中国との経済的なつながりを深めることは大切なことだといいます。それと同時に彼が注目すべき地域として挙げたのが最近発展を続ける東南アジアです。自由世界の共通の価値観を持ち制度的にも日本に近い、ベトナムやインドネシア、タイ、ミャンマーなどの東南アジアの諸国とは格別に仲良くするべきだと述べました。
わずか30分ほどの時間内に、この壮大なテーマに触れるのはなかなかに難しかったと思われます。フェデリコさんは初めての日本語での講演とあって、多少緊張しながらも最近の国際関係についてこのように語ってくれました。若い研究者の意欲的な講演に触れることができた Buona serata でした。
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