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2025年 定例会報告

2025年 総会・第1回定例会

報告:KIs

例年にない厳しい寒さが続く2月21日、2025年総会・第1回定例会が開催されました。設立30周年が過ぎ、これから先の10年、20年を見据えて新たなスタートを切る大切な総会となりました。





総会の後、Toshi会長の挨拶で定例会が開幕、司会はおなじみMuneさんです。今年副会長に就任したOさんの音頭で乾杯のあと、LaVitaさんのおいしいイタリア料理でひとしきりおしゃべりを楽しみました。定例会に初めて参加された新会員の方、今回はゲストとして参加された方々、そして古くからの会員も一緒に大いに話が弾みました。


少しお腹が落ち着いたところで「イタリア同好会・高知 21世紀の歩み」の始まりです。今回の二つのプレゼンは、実は昨年8月の定例会で発表する予定でしたが、台風で中止になり、そのまま「お蔵入り」となるにはもったいない、ということで、改めてのご披露となりました。最初のプレゼンはN会員が、当会のウェブサイト上に公開されている2001年以降の定例会の様子をパワーポイントにまとめてくれたものを見ながら、「イタリア同好会・高知 21世紀の歩み」を振り返るものでした。スライド67枚に昨年までの24年間のイベント、およそ80件がぎっしり詰まっています。「私の感じたイタリア」シリーズ、駐日イタリア大使をお招きしての歓迎会、様々なジャンルの講師をお招きしての講演会、カ・フォスカリ大学留学生との交流会… 古くからの会員にとっては懐かしい思い出です。ゆっくり語り合いたいところですが、一旦話し出したらとまりません。時間を気にしつつ駆け足で振り返りました。




二つ目のプレゼンはO会員による「30年の思い出」。定例会がきっかけとなって親交を深めている二人の元留学生とのその後の交流について話してくれました。2012年の留学生アリサさんと、2019年の留学生キアラさんからはビデオレターが届き、今も変わらない流暢な日本語に一同感心しきり! こちらの会場の様子をSNSでオンライン中継、メッセージを交換したら、とても喜んでくれました。カ・フォスカリ留学生との交流は、私達にとっても大切な思い出です。今もずーっとつながっているんですね。うれしい!


今回の二つのプレゼンは、初めて定例会に参加された方々にとって当会を知っていただくとても良い「自己紹介」となったようです。ゲスト参加の方々は早速入会を表明してくださいました。これから先の10年、20年、楽しく充実した活動が続くことを願ってやみません。この小さな地方都市高知で30余年、「イタリア」をキーワードに多彩な活動を続けてこられたのは、支えてくださった会員の皆さん、そして、関わってくださった全ての方々のおかげです。Grazie a tutti! … e continuiamo così!

2024年 定例会報告

イタリア同好会・高知設立30周年記念事業

講演会


報告:Mune

NHKの大河ドラマ “光る君へ” の放送で平安時代の女流文学が注目されている中、 「イタリアから見た日本古典文学の魅力」と題するイタリア女性による講演会が 11月22日、高知県立大学で開かれました。会場には高知の古典文学ファンなど およそ50人が参加しました。

この催しは当会《イタリア同好会・高知》が活動を開始して30年が経つのを記念し、 文化講演のシリーズを続けている高知県立大学と共に開きました。 講師は翻訳家のイザベラ・ディオニシオさんです。


イザベラさんは、私たちにはお馴染みのヴェネツィアのカ・フォスカリ大学で日本文学を 学びました。2005年に来日し、お茶の水女子大学の大学院の修士課程で日本文学を 専攻しました。その後、日本で会社づとめをしながらも、古典文学に親しんできたと いうことです。4年前には『平安女子は、みんな必死で恋してた 〜イタリア人がハマった 日本の古典〜』という本を出版しています。

イザベラさんの学んだヴェネツィアのカ・フォスカリ大学といえば、昨年まで高知県 立大学に短期留学生を送り続けてきた大学です。私たちは毎年留学生をもてなす歓迎会を 開くなど交流を図ってきました。この大学には日伊の文化交流に尽力され、日本の古典 演劇に造詣が深かったボナヴェントゥーラ・ルペルティ先生も教授として長年勤務され、 イザベラさんもその学生の一人でした。ルペルティ先生もこの高知県立大学で講演を 行ったこともありましたが、残念ながら去年逝去されました。


ところで日本の「源氏物語」は、世界的に有名なイタリアのルネサンス時代の巨匠 ダンテの戯曲「神曲」が世に出るおよそ300年も前に書かれています。 この作品が初めて西洋世界に紹介されたのは、1920年代のことで、イギリスの翻訳家 アーサー・ウェイリーが英語に全訳しました。 "The Tale of Genji"と名付けられたこの本は出版されるとたちまちベストセラーになり 「東洋最高の長編小説」などと『タイムズ』紙などで絶賛されました。これ以来世界に 知られるようになったということで、イザベラさんも「女性が書いた女性のための文学 だ」と興味を深めたそうです。

この日の講演で、イザベラさんは、「源氏物語」の作者、紫式部が身の回りの平安 貴族の生活を描いた「紫式部日記」を軸に話を進めました。


講演の中でイザベラさんは平安時代に使われた仮名文字、ひらがなの存在が この時代の女流文学の隆盛に大きな役割を果たしていることを改めて強調しました。 “真名”と呼ばれた漢字が歴史や政治経済などいわゆる固い書物を表すのに尊ばれ、 二流の書き物の文字とされた仮名文字が女性たちが身の回りの生活や感性を表現する 女流文学作品を支えたのです。

イザベラさんは同時にイタリアのルネサンス期のダンテの「神曲」に使われている文字が 当時の公用語のラテン語でなく日常の言葉で書かれていることも紹介しました。 そしてこうした新しい表現方法が時代を切り開くツールになっていることを示しました。

平安の女流作家たちは、貴族社会という特殊な環境ではありましたが、その中で身の回りの 体験で感じたうれしさや悲しみ、嫉妬など生活感覚を自由に織り込んだ女性のための文学を 作り上げました。同じ時代にこんなことができた国は世界のどこにもないとイザベラさんは そのユニークさを強調していました。

また、この「紫式部日記」にはエピソードとして、漢籍も読める紫式部が<日本紀の御局>と あだ名をつけられ揶揄された出来事も記されています。才能豊かな筆者故の葛藤があったこと でしょう。今年の大河ドラマでは子供の頃、漢学者の父親がさほど出来の良くない弟に漢籍を 繰り返し教えていた時、朗読された漢籍の内容を遠くにいた姉の方がいち早く理解していた 様子が表現されていました。

また、関白、道長は祝いの席で女御たちが御簾に隠れて逃げ込んでいたところに踏み込んで 捕まえて和歌を作れと強要しました。現代ではセクハラになるかもしれない出来事を記述した くだりもあり、1000年以上も前の平安の宮廷生活を詳しく描いています。

こうした出来事が繰り広げられた当時の宮廷の建物は、寝殿造という生活空間でした。 部屋を区切るのに御簾を下ろして区画を定めていて壁やドアで仕切られ隣の物音が聞けない ヨーロッパの住居の作りとはかなり違っていました。 イザベラさんはこうした平安時代の生活空間の独特な構造が女流文学の世界を育んだのでは ないかとその時代背景を読み解いています。

そして最後にこの時代の女流文学の作品には1000年前から蓄積された得体の知れない 魅力が詰まっているので今後も読み続けて新しい見方を探りたいと講演を締め括りました。

ところで、歴史が示すように政治家でも学者でも芸術家でも時代を切り拓いた人たちには、 何人かのライバルがいるのが通常のようです。紫式部の時代には「清少納言」「和泉式部」 「菅原孝標の女」「藤原道綱母」と優れた文学作品を残した女流作家がキラ星のようにいます。 イザベラさんは著書、『平安女子は、みんな必死で恋をしてた』の中で彼女たちの作品の 見どころを彼女なりの現代語訳で披露しています。その部分は「イザベラ流超訳」と称され ています。みなさんは現代のイタリア人女性のこのオタクぶりをどのようにご覧になるので しょうか?

夕食会

報告者:Terucun


前日の講演会に続いてのイザベラさんを囲んでの夕食会である。いつもの定例会とは異なり、特段の催しはなく乾杯の後、そく夕食の席での歓談となりました。参加者はイザベラさん、講演会を企画してくださった県立大のヨース先生を含め計12名でした。イザベラさんの日本語はネイティブレベルで、気さくに会話を楽しむことができました。また、ヨースさんはベルギーの方で、県立大で思想史の研究をしているそうです。ベルギーはビールがおいしいとのことでした。参加者の中にはたまにしか会えない方もおり、旧交を温めて大いに盛り上がりました。最後に、参加者が各自イタリア語と日本語で自己紹介を簡単にするつもりが、皆さん喋り好きが多く、予定時間を大きくオーバーしてしまいました。締めは会長Toshiのテノールの歌声に続いて全員で記念撮影をしてお開きとなりました。





2024年 第2回定例会

8月29日に予定されていた第2回定例会は台風のため中止となりました。

2024年 総会・第1回定例会


2月15日、2024年の総会が開催され、昨年度の事業報告、今年度の事業計画等について協議されました。引き続き行われた第1回定例会はブルーノ・フィヨーラさんによる講演「シチリア:古代ギリシアの植民地から現代まで」です。ブルーノさんは現在、高知県立大学文化学部の1回生。短期の交換留学ではなく、正規の学部生として県内の大学で学ぶイタリア人としては第1号なのではないでしょうか。完璧な日本語解説付きのスライドを表示しながら流暢な日本語で、出身地であるシチリアの歴史についてお話しくださいました。



シチリア島は地中海の真ん中に位置し、その戦略的な位置から、古代から現代まで古代ギリシア、ローマ帝国、アラブの支配、ノルマン人の侵略など、様々な影響を受けてきたとのこと。シチリアの歴史は多様な文化の交流と共存の歴史であり、その遺産は現代のシチリア社会や文化にも影響を与えているそうです。ブルーノさんは、それぞれの時代を象徴する文化遺産を示しながら、その時代についてわかりやすく解説してくれました。

古代ギリシア植民地時代の神殿、ローマ帝国時代のモザイク画が残されるパレルモ近郊のヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ。続くビザンツ帝国時代(535年~827年)、ビザンツ帝国はシチリア島を重要な軍事拠点と位置づけ、積極的な統治によってイスラム教徒の侵攻を防ぎ、ギリシャ正教を普及させました。

その後、イスラム教徒の支配が始まります。イスラム教徒は、高度な灌漑技術や農業技術を持ち込み、シチリア島の農業生産を飛躍的に発展させました。パレルモはイスラム文化の中心地として栄え、イスラム建築やアラビア語など、イスラム文化の影響は現在もシチリア島の文化に深く根付いているそうです。

続いて、1072年にはノルマン人がシチリア王国を建国、ルッジェーロ2世の時代に最盛期を迎え、地中海の中心的な海洋国家となり、アラブ・ノルマン文化と呼ばれる独特の文化が花開きます。その時代の代表的な建築であるパレルモのノルマンニ宮殿やチェファル大聖堂は世界遺産に登録されています。また、ルッジェーロ2世は、イスラム教徒やユダヤ教徒など、異なる文化を持つ人々を受け入れ、シチリア王国を多文化共存の社会に発展させたそうです。まさに現在も叫ばれる「多文化共生」が繁栄をもたらしたわけですね。

その後のアンジュ―家とアラゴン家の争いや、続くスペイン王国の支配は経済を沈滞させ、文化的な停滞をもたらし、やがて1861年にイタリア統一を迎えます。


さて、ブルーノさんが紹介してくれたスライドでひときわ皆さんの目を引いたのが、アグリジェントのValle dei Tempiにあるギリシア神殿、Tempio della Concordiaの前にごろりと横たわる巨像。調べてみると実はこれ、「L‘Icaro caduto」(Igor Mitoraj、2011年)という現代アートの作品のようです。太陽に翼を焼かれたイカロスが、ギリシア神殿の前に落ちて来て横たわっている…なんて想像すると楽しいですが、世界遺産のサイトに現代アート、これぞイタリア!?

会員のNさんからは「ラグーザを知っているか?」との質問が。ヴィンチェンツォ・ラグーザはいわゆる明治の「お雇い外国人」で、工部美術学校で彫刻を指導。日本人の妻、お玉さんを連れて戻った故郷のパレルモには彼の手による「ガリバルディ騎馬像」があるそうです。思わぬところに日本とのご縁がありました。ラグーザの話や当会主催の旅行でシチリアを訪れた時の思い出話で盛り上がったところで、名残り惜しくも閉会となりました。

今回はブルーノさんをゲストスピーカーにお迎えして、「文明の十字路」と言われるシチリアの豊かな歴史や文化の一端に触れることができました。ブルーノさん、ありがとうございました。高知で学生生活を送るブルーノさん、今後の勉学で得られるであろう新たな知見もプラスして、これからも故郷シチリアの魅力を私達に伝えてください。

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2023年 定例会報告


2023年第2回定例会 「おきゃくでヨーロッパ」
高知日仏協会 高知スペイン友好協会 イタリア同好会・高知
 〜 国際友好3団体による合同交流会 〜

11月29日、第2回定例会「おきゃくでヨーロッパ」が開催されました。高知では、みんなで集まってワイワイ楽しむ宴会のことを「おきゃく」と言います。高知人は「おきゃく」が大好き!今回はイタリア同好会・高知の呼びかけで県内の3つの国際友好団体が初めて合同で交流会を開催することになりました。各団体の垣根を取り払い、「おきゃく」で交流を深めようというわけです。



イタリア同好会・高知のToshi・森岡会長のあいさつで開幕、続いて高知日仏協会、佐竹会長の「長い歴史を振り返るとこの3国は戦火を交えたこともあるが、今日こうして一同に会することができ喜ばしい限りである」とのご挨拶に大いに盛り上がり乾杯となりました。




テーブルには3カ国のお勧め料理が次々と運ばれてきます。スペインのガスパチョ、スペイン風オムレツ・トルティージャ、フランスの甘鯛とオマールエビのヴァプール ブイヤベースソース、牛タンの赤ワイン煮込み、イタリアのペンネアラビアータ、ピッツァ クワットロ フォルマッジ… 今日のために高知スペイン友好協会と高知日仏協会からご意見をいただいて、イタリア料理ラ・ヴィータが料理を担当されました。さすが地中海文化をともにする3カ国だけあって料理のハーモニーも抜群。普段とは違う贅沢な楽しみ方ができました。





ステージでは3つの団体の自己紹介が… 設立の経緯、現在の活動などについて、三者三様個性豊かなプレゼンが繰り広げられました。各団体の持ち時間が決まっていたのに、きっちり収めるところあれば大幅にオーバーしてしまうところありで紛争になりかねない?危険な(笑)プレゼンでした。






さて、お腹が落ち着いたところで、イタリア同好会・高知 宮地事務局長によるクイズコーナー。フランス、スペイン、イタリアにまつわる3択クイズに答えて、勝ち残った人にはJTB様とラ・ヴィータさんから豪華賞品が! 「アメリカ横断ウルトラクイズ」改め「ヨーロッパ横断ウルトラクイズ」は大盛り上がり、と思ったらわずか数問で日仏協会のSさんの優勝が決定。

いやいや、残りのクイズもやりましょう!ということで第2回戦は、日仏協会のYさんが新たに豪華賞品を提供。スペイン友好協会のOさんが賞品ゲット。もう終わりかと思いきや、日仏協会のYさんが新たに豪華フランスワインを提供。じゃんけん大会で、イタリア同好会のMさんがゲット。賞品を手にされた皆さん、どうぞ楽しいクリスマスシーズンをお過ごしください!



食事のあとはワインとチーズで歓談。各団体がセレクトしたワインとチーズのマリアージュを楽しみました。スペイン友好協会の岡添会長のご挨拶で中締めとなりましたが、やはり、この方の歌がなければ終われません。イタリア同好会のToshi会長のカンツォーネ ナポレターナでさらに盛り上がり、こうして初めての合同交流会の夜は大盛況のうちに幕を閉じました。


早速、参加した3団体からは来年も同会を開催しようとの声があがり、次回の幹事は高知日仏協会の予定、そして新たに日独協会も参加を考えているとか。今後県内のヨーロッパ各国友好団体間の輪が拡がっていきそうで、ますます楽しみになります。

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2023年 総会・第1回定例会

報告:KIs





3年ぶりに対面で総会が開催され、昨年度の事業報告、今年度の事業計画等について協議されました。引き続き、第1回定例会を開催。久しぶりに参加された会員もいて、LaVitaのおいしいイタリアンに舌鼓を打ちながら、大いに話に花が咲きました。お腹が落ち着いたところで、小笹智子さんの登場です。

小笹さんは「しまんと新聞ばっぐインストラクター」。四万十川中流域で誕生した「しまんと新聞ばっぐ」の「考え方」と「作り方」を教える先生として活躍されています。以前、当会の定例会「エコなイタリア〜新聞バッグに挑戦・イタリアの新聞を使って〜」で私たちにもその作り方をご指導いただいたことがあります。(2014年第3回定例会のページをご覧ください)





さて、2022年6月、その高知の「新聞ばっぐ」が向かった先が「フォーリサローネ(Fuori Salone)」。毎年ミラノで開催される世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ」の「フォーリ(fuori=外側)」で行われる様々な展示イベントの会場です。展示会場のスライドが紹介されるたびに参加者からは「おお〜!」という驚きの声! 洗練されていて、カッコよくて…思わず声が出てしまいました。それもそのはず、あるインターネットの記事によると、「フォーリサローネは、最先端の技術を応用した実験的な試みや、グローバル企業のブランディング・マーケティングの場」となっており、ミラノサローネと合わせた展示群は「ミラノデザインウィーク Milano Design Week」と呼ばれ「世界一のデザインの祭典」となっているそうです。そんなスゴいイベントの中にあって、高知の「新聞ばっぐ」が大健闘!ワークショップは順番待ちの行列ができるほどだったそうです。新聞紙と糊だけでできる「新聞ばっぐ」。しかも作り手の腕次第で如何様にもデザイン性を高めることができる。意識の高いデザインウィーク参加者たちにもウケたんですね。うれしい限りです!



ところで、この「新聞ばっぐ」のイタリア旅行は、2018年フィレンツェで行った高知のアーティストによるグループ展「HEJI-Mostra colletiva degli artisti di Tosa」(2020年第1回定例会のページをご覧ください)がきっかけだったそうです。また、展示会場には2013年高知県立大学への留学生、アリサもはるばるルーマニアから駆けつけてくれ、イタリア語での解説などで活躍してくれたそうです。イタリア同好会・高知でのご縁がつながっていることを知って、私たちもうれしかったです。

最後に小笹さんがイタリアで味わったグルメの数々をご紹介いただき、ここでも「おお〜!」と歓声が。今やイタリアではあらゆることが「非接触」になっていて、地下鉄も買い物もクレジットカードをピッとやるだけで済むのだそうです。スイカも〇〇ペイもいらないらしい。知らない間に随分進んでしまったんですね。次にイタリアに行くときは「浦島太郎」状態かも、と皆で大笑いして講演が終了。しばらく歓談の後、「やはり、対面での定例会は楽しいね」そう言いながらお開きになりました。これからも続けられますように。

2022年定例会報告

第1回定例会 「イタリアの学生と友達になろう!! part IX」

報告:Asako


10月21日(金)にラ・ヴィータホールにて、イタリア同好会・高知の第1回定例会が開催されました。定例会の開催は、コロナ感染症のために実に2年8か月ぶりです。会場に入ると、聞き覚えのある懐かしい声があちこちのテーブルから聞こえ、思わず何度も振り向いてしまいました。皆さんお変わりないようです。


イタリアからの留学生との交流会も3年ぶりで、8名の大学生をお招きし交流会が始まりました。8名の皆さんの自己紹介の後に、イタリアと日本の地元自慢で、アレッサンドラさんはイタリアの世界遺産について、ドロミテやフェラーラ、アマルフィ海岸、マテラなどを、パワーポイントを使って上手な日本語で説明してくれました。皆さんが行ったことがある場所はいくつあるでしょうか。それから、イタリアの発明品で、マカロンについて、フランスで発明されたお菓子とばかり思っていましたが、実は16世紀にフランス王家に嫁いだカテリーナ・デ・メディチがイタリアから持って行ったそうです(諸説あり)。香水やナイフ・フォークも一緒に持ち込まれたそうです。次にイタリアに行ったら、マカロンを買って食べてみたいです。


ミッシェルは、出身地のヴェローナの歴史や名所、名物を教えてくれました。私は行ったことはありませんが、ヴェローナといえば「ロミオとジュリエット」のジュリエットの家がある場所のイメージしかありませんでした。アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭も有名で、毎夏開催されるオペラ音楽祭で、会場は古代ローマの円形競技場の遺跡だそうです。名物はポテトニョッキとリゾットで、サラミ肉のリゾットなどがあるそうです。次に行くときは、ヴェローナにもぜひ行ってみたいですね。


さて、一方、日本を代表するのは、会員の新谷さんの土佐清水市のご実家、新谷商店で作られるメヂカ(ソウダカツオ)で作る宗田節についてです。宗田節は土佐清水市の特産品で、生産量は日本一だそうです。メヂカの説明や宗田節が作られる過程を映像を見ながらプレゼンして頂き、その後、その宗田節を実際に削って食してみることになり、留学生の皆さんは結構上手に削れていましたね。忘れられない体験となったのではないでしょうか。だしは日本の食文化の中心にあり、宗田節のコクのある旨みとゆたかな香りも高知の思い出と一緒にぜひ覚えていてほしいです。





各テーブルに2名の留学生さんに座って頂いていたので、それぞれのテーブルでイタリアと日本についての話題をしながら、会話が盛り上がったことと思います。ワインを飲みながら、美味しいお料理も頂き、時間はあっという間に過ぎていきました。コロナ禍の中、感染対策しながらの定例会でしたが、ご準備して頂いたラ・ヴィータの皆様ありがとうございます。 留学生の皆さんとの交流も、会員の皆さんとの再会も、毎年できていた頃よりも感慨深く、なんだかすごーく沁みました。また、次の定例会も元気にお会いしましょう。Ci vediamo!!

総会

総会は書面開催で行われました。

Zoom交流会

リアルでの定例会開催が難しい状況が続く中、少しでも会員間の交流が図れるようにオンラインによる「Zoom交流会」を開催しています。

第3回(報告)フィレンツェ 7月3日(日) 20:30~21:30

今回はイタリアから、以前にもZoomで交流したことのある日本語が堪能なアンナさん、フィレンツェ在住の横山明子さん、横山さんの友人であるダニエレさん・ミリアムさんご夫妻の4名。イタリア同好会・高知からは7名。合計11名での交流会となりました。

まず、最初にアンナさんが最近トリノで開催された「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」にボランティアスタッフとして参加し、とても楽しくて貴重な体験をした事を日本語で話してくれました。同好会の参加者の中には、このコンサートの様子をYouTubeで見た人もいました。毎年ライブ配信もされているとのこと。どんなコンサートなのか詳しく知りたい方はインターネットで調べてみてください。こんな世界的な歌合戦が開催されているとは知らなかった人もいて、アンナさんの話はとても興味深かったです。

次にダニエレさんご夫妻、二人はマルケ州アンコーナ県イェージ(イタリア語Jesi)出身。お二人もなんと、7年ほど日本語を勉強していて、日本語で、日本語の説明文付きの画像を見せながら、イェージについて語ってくれました。

人口4万人ほどの自然豊かな町イェージ、とても美しい城壁や劇場などの風景、そして本当においしそうな郷土料理の写真をみていると、「イェージプチ旅行」気分を味わえました!ここには作曲家ロッシーニにちなんだ肉料理もあり、有名なオーガニックワインも生産されているそうです。

ダニエレさん夫妻はご夫婦で、映像クリエイターとのこと。とても感じのいいステキなご夫婦です!横山さんが教えてくれたのですが、素晴らしいプロモーションビデオも作成されていて、日本の美術関係の本を発行している会社から仕事を依頼されることも多いそうです。

イタリアの方から、イタリアの最新情報や日本人があまりおとずれことのない小さな町の事を直接知ることができて、とても楽しい交流会でした。

第2回(報告) ボローニャ   6月6日(月) 19:00~20:00





 今回はボローニャから藤沼緑さんをゲストにお迎えしました。高知からの参加は8名。藤沼さんは東京外語大在学中にローマ大学とナポリ東洋大学にそれぞれ1年留学され、卒業後はボローニャの会社に就職、ご結婚後はイタリア人のご主人の海外赴任に伴って世界各地にお住まいの後、2005年から再びボローニャに在住とのこと。多くのスライドを準備してボローニャを紹介、また事前に会員から募集した質問に丁寧にお答えくださいました。



散歩道

散歩道
 ボローニャと言えば、Portico(柱廊)。昨年ユネスコの世界文化遺産に登録された、そのPorticoの一つが町の中心から標高300mの丘の上にあるサンルーカ聖堂へと続いています。毎年1週間(今年は5月16日から24日)、そのサンルーカ聖堂から「黒い聖母子像」が輿にのせられ町まで運ばれるそうです。1433年春、長雨による農作物の不作が危惧され、「黒い聖母子像」を町の教会まで運んで祈願したところ雨が止んだという故事に因んで現在まで続いているのだとか。藤沼さんのご自宅はサンルーカ大聖堂の近くで、丘の上まで続く道が毎日の散歩コースなのだそうです。コロナで厳しい外出規制があった時も、その散歩コースのおかげで切り抜けられたとのこと。緑に囲まれた、素敵な散歩道。また、このサンルーカ聖堂を通る、ボローニャとフィレンツェを結ぶ道は、神の名をいただく山々を超えることから、Via degli Dei (神々の道)と呼ばれているそうです。ローマ時代に起源があるこの道は、近年はハイキングコースとして人気が高く、ルート沿いの宿泊施設は数か月先まで予約で埋まっているそうです。Via degli Dei、一度歩いてみたいものですね。

 さて、ボローニャのあるエミリア-ロマーニャ州は美食でも有名。トルテッリーニ、パルミジャーノレッジャーノ、モルタデッラ… 日本でもおなじみの「ボロネーズソース」は、ここ本場では、スパゲティとは合わせることはなく、幅広のタリアテッレかショートパスタに合わせるのが普通。地元でモルタデッラと呼ばれるソーセージは、イタリアのその他の地域では「ボローニャ」と言われるそうです。日本のスーパーでも「ボロニアソーセージ」という商品を見かけますよね(筆者に言わせれば、全然別物ですが)。会員からは「あの時食べた、あれ」の名前を教えてほしいとの質問。Torta di Riso (お米のタルト)とCiausucolo (マルケ地方のソーセージ)。謎がとけました。次回イタリア訪問の際にはぜひ名前を言って注文してみましょう。

 藤沼さんのお話は、他にも、今に残る古い運河のこと、ボローニャ大学のこと、産業のことなど盛りだくさんでした。明日にでもボローニャに行きたくなりました!藤沼さん、楽しいお話をありがとうございました。

第1回(報告) ヴェネツィア  4月20日(水) 19:00~20:15

 イタリアからは、この秋高知への留学を希望している、ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学の学生、アレッサンドラ・カンペオールさん、サラ・デ・ローザさん、ミッシェレ・フッジーニさんの3名と、今回この交流のお世話をしてくださった、キアーラ・ダリスさん(2019年、高知に来た元留学生)の4名。そしてイタリア同好会・高知からは9名の合計13名で交流会を開催しました。

高知の自然や文化を紹介したところ、彼女たちは高知にとても興味を持ってくれたようでした。また彼女たちは日本語が上手で、私たち全員の質問に日本語で答えてくれました。

予定時間があっという間に経過して、最後にまたの再会を約束して、終了しました。

2021年定例会の報告

2021年第1回・第2回定例会

第1回定例会は中止となりました。 この秋に第2回定例会開催を検討しておりましたが、対面での開催が難しい状況が続いています。

そこで、対面での定例会に変わり会員相互の親睦を図るために Zoom を使ったオンライン交流会、「Zoom 交流会」を 会員限定で開催しました。

Zoom交流会(会員限定)報告

報告:MUNE

新型コロナウイルスの世界的な流行により、その感染拡大を防ぐために日本の社会生活はこの2年近く様々な制限を受けました。私たちイタリア同好会・高知の年間の活動も同様に大きな制限を受けています。この中でもなんとかサークルの活動を存続させようと考えられたのはパソコンやタブレットを使い、会員の交流を図ろうという試みです。

この試みをめぐって連想するのは中世のイタリアの作家ボッカチオによる“デカメロン”という作品。この作品が描くのは14世紀、黒死病とも呼ばれるおそろしい病気ペストが大流行したフィレンツェ郊外の山荘の貴族のサロン。ひっそりと集まった貴婦人と貴族の男性のあわせて10人が一夜ごとに、変わるがわる滑稽話を述べ合う物語です。世界の文学史上に残る名作といわれています。深刻な流行病があって社会の活動は強く制限されるのだけれど、それでも人間社会の交流は続けたという物語の状況は当会のこの活動にもある種のアナロジーを感じます。

当会のイベントは、具体的には“ZOOMアプリ”を活用してこの会の会員同士がインターネットで交流する“ZOOM交流会”の開催でした。今年9月15日夕方、呼びかけに応じて11人の会員がパソコンやタブレットの前に集まり、この交流会に参加しました。

でした。

🍷ワイン通の森岡さんはおよそ30分にわたり、ワインに関する自らの体験をもとにその蘊蓄を語りました。この中で森岡さんはこのイタリア同好会・高知のメンバーが団体でイタリアを訪問した16年前、会長自身ミラノで買い求めたバローロの値段を取り上げました。森岡会長は当時2万8,000円ほどで手に入れた一本が今ではなんと5倍以上に跳ね上がり、14万円余りにもなっているとのこと。

ワインが最近こんなにも高騰している背景について森岡さんは高価なワインは原料のブドウの生産そのものが少なく年毎の出来、不出来が著しいことや近年富を蓄えた中国の富裕層が有名ワインに手を伸ばしていて値段を釣り上げていることなどを挙げていました。

森岡さんのお薦めのイタリアワインとしては様々な観点からトスカーナ州で生産される<マッセト トスカーナIGT>という商品だそうです。これは日本でも買えて一本が9万4〜5千円で手に入るそう。(それでも「とても高いなあ」と私は思いますが…)

そして世界ランキングで言えばイタリア産よりもさらに高いのはフランス、ブルゴーニュ産の<ロマネコンティ>で一本の値段が200万から300万円に上るそうです。🍾ワイン一本で🚗車一台が買える程と聞いてびっくりでした。

世界ではワインの産地は結構あるそうですが森岡さんによると価格面でのおすすめはチリ産の千円から二千円くらいのワインがお手頃だそうです。

森岡さんのお話の後、会員からは高知で最近生産されているワインの将来性などに質問が寄せられていましたが、森岡さんは高知が雨が多いことや高知の土壌の粘土層はワインには不向きだとワイン栽培における高知のデメリットを述べつつも、実ったブドウを少し乾燥させてから醸造させるなど工夫してみる手はあるのでは…とその可能性も紹介していました。

森岡さんの講演内容とは離れますが、ワインといえば私は“旅するイタリア語”というNHKのEテレの語学講座で紹介された古代ローマのワインを思い出します。この番組に出演したバイオリニストの古澤巌さんは古代ローマの時代の西暦79年に起きたヴェスビオス火山の大噴火で埋もれた街ポンペイの遺跡に近い葡萄畑を訪れました。この畑は噴火当時の葡萄畑が復元されていて古澤さんはこの葡萄畑で収穫された葡萄を使い、古代の様式そのままに製造されたという赤ワインを味わっていました。ポンペイ再生プロジェクトで復元された2000年前のワインです。年に1500本しかできないため、その畑近くのレストランでしか飲むことはできないということでした。古代ローマの人たちも楽しんだワイン。その味はfresco(さわやか)なのか?floreale(花のよう)なのか?あるいは2000年もの時を刻んでtostato(煎ったよう)なのか?死ぬまでに一度味わってみたいなあ!

なかなかにしぶとかった新型コロナウイルスもワクチンの普及で流行がやっと下火になってきたように思います。当会も昔のように活動を再開してイタリアとの様々な交流をさらに深めたいものです。

2020年定例会の報告

2020年第2回・第3回定例会

今年計画していた第2回、第3回の定例会は中止となりました。

例年、第2回定例会では高知県立大学に短期留学中のヴェネツィア カ・フォスカリ大学の皆さんと交流会をしています。今年はCOVID-19の影響で留学生の来日がなくなり、イタリアとオンラインで結んで行う予定だった定例会も感染予防の観点から中止となりました。次回定例会は2021年となりますが、一日も早く事態が収束し皆さんと直接お会いできることを願っています。

この機会に留学生の皆さんからメッセージをいただきました。「お便り」のページに掲載しています。

2020年総会・第1回定例会
フィレンツエでのグループ展「HEJI-Mostra colletiva degli artisti di Tosa」報告

2020年総会と第1回定例会が開催されました。 定例会の報告は会員の北村宗範さんです。

地域における国際文化交流の試み 〜花の都に舞う散華の花びら〜

報告:北村宗範(「イタリア語の勉強会」中級クラス受講中)




当会のことし第一回目の定例会が2月6日に開かれました。 この定例会では当会の副会長、阿部鉄太郎さんがおととしの3月23日〜29日にイタリアで行ったグループ展について報告しました。このグループ展には高知で絵画や造形などの制作活動に取り組んでいる仲間たちが参加したそうです。阿部さんは現地の様子を写したビデオなどを使って報告しました。 報告をもとにその活動をまとめてみました。

この展覧会は高知で制作活動をしている芸術家たちが地元高知の素材を生かして作り上げた作品をイタリアのフィレンツェで紹介してみようと初めて企画されました。作品を展示したのは阿部さんや当会の会員小笹智子さんなど11人で、そのうちの7人が造形作家、2人が画家、カメラマンと書家がそれぞれ1人というメンバー構成でした。

オープニングに合わせて行われたワークショップでは高知特産のサンゴをすりつぶして絵具が作られました。会場を訪れた人たちが蓮の花の花弁を形どった紙の小片に思い思いの絵や文字を描きこみました。散華というのは仏教の世界の言葉で、泥など汚濁の中から茎を伸ばし水面に見事に花開いた蓮から取った花びらを撒く行為を表すそうです。催しは宗教色が濃かったもののフィレンツェの人たちは造形芸術として理解を示し興味を持って参加してくれたそうです。

このあと、よさこい踊りとそのリズムにあわせてハスの花の小さい紙片がばら撒かれました。 地名も〜fiore(花)〜に由来するという花の都フィレンツェに、高知縁りの散華の花びらが舞ったのです。参加した地元の人たちの多くは縁起ものとして紙片を持ち帰ったそうです。

ところでこの展覧会の催しには、高知独自の文化をこの地で紹介し、イタリアの都市との間で地域レベルの文化交流を進めようという目標がありました。展覧会全体を通じていくつかの面でその試みが見受けられます。

一つにはイベントの大きなテーマを元来、“お遍路さん”を意味する「辺路」(へじ) と表したこと。遍路に関する様々な想いが四国八十八カ所を開いた空海の横顔を刻んだレリーフや高知市の31番札所、竹林寺ゆかりの仏像など多く展示作品に表現されていました。

また、展示作品に高知の素材をたくさん取り入れています。作品には和紙や竹、サンゴなど高知の自然が生み出す地元の素材が使われていました。さらには展示会のオープニングの際「よさこい鳴子踊り」を披露しています。有志の女性数人がよさこいの有名連として知られる「浜長」の踊りの時の衣装で街に繰り出してPRしていました。また「よさこい鳴子踊り」はワークショップを彩るイベントにも登場しました。このように展示会の作品やイベントには私たちの地元、高知の様々なものがあふれていました。

それでは文化の交流という面ではどうだったのか?フィレンツェの地元が、どのようにこの展示活動や作家たちに関与したのか?

「実践報告」の文書にフィレンツェの有力紙「LA NAZIONE」に掲載されたこの展示会の特集記事が紹介されています。この中でラウラ・タベーニャ記者は何人かの作品を取り上げ、それぞれの作品が高知と日本の独特の文化に育まれて制作されているとグループ展全体に好意的な表現で記事をまとめています。また、阿部さんをはじめ高知から訪れた制作者たちは、多くの銅像を作ってイタリアの国 内に供給している地元の工房を訪れ製作者たちと交流しています。

このように初めてのグループ展はまずまずの結果に終わったようです。ことし、日本とイタリアの両国は中国から始まった新型コロナウイルスに感染する人が相次ぎ、とりわけイタリアでは閉鎖され る地域も出て大変な騒ぎになっています。しかし、この奇妙な病気もそれに伴う感染者の蔓延もいずれ克服されるでしょう。地域ぐるみで国際的な文化交流というのは次第に世界の大きな流れとなってくると思います。14世紀にイタリアでも大流行したという疫病ペストを思い起こさせる現代の疫病でもこの流れを止めることはできないでしょう。

2019年定例会の報告

2019年第3会定例会
日伊協会(東京)島田精一会長をお招きして
講演:「前向きに、明るく、逃げず、知ったかぶりせず」の哲学

報告:吾妻 健






2019年第3回定例会は、11月28日(木)午後6時半よりラ・ヴィータメッゾホールで開催された。 宮地事務局長の進行で、はじめに、森岡会長の挨拶、乾杯後、食事会が始まった。今回は、日伊協会の島田精一会長をお招きし、ご講演をしていただいた。島田氏は、現在、津田塾大学理事長、日本ヴェルディ協会理事等の要職を務めており、三井物産副社長、日本ユニシス社長など多くの重職を歴任してきた。以下は、そのご講演の要約である。

まず、氏は、高校生の時にゲーテの影響を受け、ナポリに憧れた。大学卒業後、三井物産に就職、3年目に留学のための試験を受けた。海外留学をナポリ希望とした。面接官になぜナポリかと聞かれ、EC(ヨーロッパ共同体)の第一回会合がローマで開かれたからと、イタリアの価値を強調、北イタリアと南イタリアの格差についても言及した。希望が叶い、25歳で着任した。

全くイタリア語はできなかったため、ペルージャ外国人大学で半年イタリア語を学んだ。日本の語学教育と違って、対話形式であった。しかし勉強しても学校の授業や下宿のおかみさんとその息子が言っていることが全然わからない。ヨーロッパ圏からきている仲間たちの習得のスピードが早く、あせるも追いつかない。日本へ帰りたいと思うように。見兼ねたおかみさんの息子が土日に映画に誘ってくれ、分からないながらも通った。しかし、3か月が過ぎたころ、突然皆が言っていることが、理解できるように!!このことから、「勉強量と成果は比例しない。我慢して、我慢して、ある日、突然花開く。」という言葉を得る。このことは、のちに赴任したメキシコでのスペイン語習得にも生かされた。語学の伸び方は、放物線を描くようなもので、Y∝X(比例の関係)ではないと悟る。

イタリアでは、機械部門のマネージャーになったが、最初は何をすれば良いか分からなかった。FIATに通い、東芝の部品を営業したが、100回通っても契約が成立しない。当時の上司からかなりプレッシャーをかけられた。もうだめかと思っていたが、ある日、秘書が「FIATから呼び出しがある」と言ってきた。出かけたところ、「これまで熱心に営業をしてもらったので、5年間契約したい」と申し出があった。「無駄な仕事はない。目の前の仕事に全力投球すること。道は必ず開ける。」と感じることができた。

ナポリ人に、人生とはなにか、と聞いてまわったところ、「人生は楽しむためにある」といわれた。彼らは夜8時や9時ごろからホームパーティーを開き、その後夜の街を散歩する。大いに楽しんでいた。

40代の時、メキシコ三井物産の副社長として赴任した時、突然警察に拘束された。でたらめの逮捕理由だったことから、1週間そこらで釈放されると思っていたら190日以上と長期化し、肉体的にも精神的にも厳しい状況となった。そのような抑圧された状況の時に、歌を詠む。以前海外で1年以上拘束され、解放されたものの、廃人のようになった人の話を聞いていた。絶対そうなるものかと思った。獄中で読んだ高杉晋作の歌『おもしろきこともなき世におもしろく すみなすものは心なりけり』にこれだ!と、自分の支えにしたいと思った。

50代で未知の部門に飛び込んだ。当時は赤字部門で、プレッシャーの中事業を立ち上げた。産業界で生きていくために、一言書いてほしいと52,3歳の時に言われ、「前向きに、明るく、逃げず、知ったかぶりせず」の言葉を使った。これは、逆にいうと、「後ろ向きで暗く、逃げ、知ったかぶりする」。知ったかぶりしないと、教えてもらうことが多くなる。これは、自分自身の経験から得た「言霊」である。

以上が今回のご講演の要旨である。多彩な要職を歴任され、波瀾万丈の人生を送られてきた、島田精一氏の講演に、ラ・ヴィータのいつもの美味しい料理・ワインとともに酔いしれた人も多いと思われた。



















2019年第2会定例会
「イタリアの学生と友達になろう!! partVIII」
− ヴェネツイア カ・フォスカリ大学留学生との交流会 −

報告:宮地貴嗣

5月17日(金)午後6時半より、第2回定例会「イタリアの学生と友達になろう!!part[」をラ・ヴィータメッゾホールで開催しました。

恒例になりましたイタリア国家を全員で大きな声で合唱した後、森岡会長がご挨拶。 その後、ヴェネツィア カ・フォスカリ大学から、高知県立大学へ留学している9名の皆様の自己紹介が、石川副会長の進行で行われました。

乾杯の後、各テーブルで、留学生を囲んでの会話が弾みました。留学生の皆さんは、日本に対する愛着をお持ちで、日本語も本当に上手です。








お料理も一段落した後は、こちらも恒例になりつつある「連想ゲーム」。 テーブル毎にチームを組んだ3チームと、イタリア語講座チームの4チームで対戦! イタリアの学生は、日本人が出す日本語のヒントに日本語で答えます。 日本人は、イタリア学生が出すイタリア語のヒントにイタリア語で答えます。








歓談コーナーに移動して、会話を楽しんだ後、こちらも恒例になりました「しばてん踊り」を、小笹会員の指導で、留学生の皆さんと一緒に踊りました。





留学生の皆さんは、高知のよさこい祭りの各チームの衣装を身にまとい、しばてんの手拭を頭にまいて、楽しそうに踊りました。

留学生の皆さんにとりまして、高知の楽しい想い出になったことだと思います。



来年も続いて開催できたらいいな、と感じました。

2019年 第1回定例会
講演:「イタリアの小さな村より」

報告:阿部 鉄太郎


 2月15日(金)の夜、私たちはラ・ヴィータ6階メッゾホールに居ながらにして、イタリア3州を巡る興味深い旅に誘われた。それはパンフレット等でよく目にする都市観光中心のツアー旅行ではない。小さな村に一定期間滞在し、村の人との交流を通して、地域の歴史や風土、伝統文化を深く体感することのできる、これまでにない形式の旅だ。つまり、この日マッシモ・スッチさんにより紹介されたBAIという活動のことである。

 BAIとは、中小の地方自治体や各種団体でつくる協会のことで、現在イタリア国内の250の自治体や団体が加盟している。BAIの主たる活動目標は、1.地域の改革の気運を高めること 2.過疎の自治体の人口減少を食い止めること 3.地域の生活の質を向上させること 4.小さな村での生活とバカンスを魅力的にすること である。それらの目標を達成するためのプロジェクトとして、本物を体験する「おもてなしの村」(Comunita’ Ospitale)という観光事業がある。前述の通り、旅行者と村の人との深い交流が特長だ。また、各地にいる「おもてなしチューター」と協力したこの観光事業を通して、「環境保全」「気候変動対策」「市民生活の向上と福祉」「若者対策」「景観保持」等を考える契機となる。「もう、ただの観光客でいるのは終わり!」「村人になってみましょう!」というキャッチーな言葉が続くスライドを見るにつれ、会場にいる私たちの心は高まった。

 今回マッシモ・スッチさんに紹介いただいたBAIの活動地域であるイタリア3州は、ウンブリア州、サルデーニャ州、ピエモンテ州である。どの州の名前を聞いても、ワイン好きの私はご当地名産の神雫を想像してしまうのだが、話せば長くなるので別の機会に。さて、私は仕事の関係でフィールドワークが多く、今回紹介いただいた3州のうちウンブリア州については、およそ観光地とはいえない村の深部まで訪れたことがある。3年ほど前に、当時のゼミ生と芸術作品の調査(ルネサンス期の画家フィリッポ・リッピの遺作である教会壁画)をしたスポレートという村である。会場でのスライドの説明にもあるように、ペルージャ県は中世の建造物が状態よく現存しており、村そのものの色彩が他の地域とは異なっていたのが印象的だった。当然のことながら、そこには地域ならではの歴史(ローマ教皇領に隣接するという地理的事情を含んだ)や風土、内陸地特有の食文化があり、芸術家もたくさんいる。そこで出会った芸術家の一人、ロベルト・ピビリ氏とは、昼から浴びるほどワイン(ボトルのエチケットの絵柄は全てロベルト氏の絵画作品が印刷されたものだった)を共にし、お互いに作品等を交換し合い、今でも交流が続いている。私がウンブリア州にいたのは2日程であったが、これがBAIの活動のようにもっと長く滞在できたなら、より深く村の風土に触れ、村の人と異文化交流することができたのではと思う。実際、スポレートの城塞や石垣は古代文明の痕跡を残すものが多く、滞在期間が短く調査しきれなかったことが今でも悔やまれる。

 今回の定例会で紹介されたBAIの活動は、私たちがイタリアを訪れる際の旅行計画のひとつとして、魅力的な選択肢を与えてくれるだろう。また、イタリア同好会高知での情報交換や人脈が、旅の計画をより具体化してくれるに違いない。それに加えて、私たちが同時に考えねばならないこともある。それは、地域課題のある高知(日本の小さな村?)において、今回知ったBAIの活動を理解し、共鳴し、行動することである。流行りの言葉でいえば、グローカリゼーションというのだろうか。世界における地域と地域、村と村が、それぞれの文化を認め合い、交流するなかで世界的に各々の「地域」の熱量を高めていく。FacebookなどSNSツールの世界的な発展も、そのような時代の流れを鑑みれば必然だろう。毎年ヴェネツィアから高知に留学してくるカ・フォスカリ大学の学生たちも、各々が育った村のアイデンティティを内面に強く持ち、日本の小さな村と深く関わることで、様々な発見や学びを故郷に持ち帰りたいのではと推察する。この春、私たちは「おもてなしチューター」として、イタリアの留学生たちとどのように関わることができるか。毎年の楽しみであり、課題でもある。









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☆ マッシモさん、マリーナさんからBAIを代表してお礼のメッセージが届きました。
☆ 原文に続いて日本語訳があります。

Cari membri dell’Associazione Amici d’Italia vi scriviamo per ringraziarvi anche da parte della BAI per l’accoglienza che ci avete fatto il 15 febbraio e per l’interesse che avete manifestato nei confronti della realtà dei Borghi Autentici e delle Comunità Ospitali BAI.

Speriamo che l’amicizia tra gli amici di Kochi e i piccoli Borghi Autentici italiani diventi sempre più forte e che in futuro possiamo scambiarci ancora esperienze per rafforzare la relazione tra Italia e Giappone.

Vi aspettiamo per un soggiorno in un Borgo Autentico o in una Comunità Ospitale dove sarai accolto non come un turista ma come un cittadino temporaneo. Grazie ancora a tutti

Massimo e Marina Succi

Se volete visitate la nostra Pagine Facebook:
イタリアの小さな村推進委員会

Se volete fare esercizio di Italiano visitate la pagina:
https://www.borghiautenticiditalia.it/

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 イタリア同好会の皆さん、2月15日の定例会にお招きいただきありがとうございました。 おかげさまでBAIについて、また「おもてなしの村」プロジェクトについて皆さまにご紹介することができました。BAIを代表してお礼申し上げます。

 これからも高知の皆さんとイタリアの小さな村の間の友情が更に強まり、日本とイタリアの間の交流が深まっていくことを願っています。

 皆さん、ぜひ、「古き良き伝統を守る本物の村」「おもてなしの村」で、観光客としてではなく、住民の一人として過ごしてみてください。お待ちしています。

皆さん、本当にありがとうございました。

マッシモ・スッチ、マリーナ・スッチ

日本語のフェイスブックあります:
イタリアの小さな村推進委員会

また、イタリア語の勉強をしたい方はBAIのサイトもご覧ください:
https://www.borghiautenticiditalia.it/

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